ターボ君のお話し 3


。。。。そしてターボ君は静かに目を閉じたのでした。

チューリップが咲くにはまだ十分ではない季節のことでした。




町のみんなは悲しくなりました。
あの八百屋さんも
あのターボ君が助けた男の子も
一緒に花を植えた女の子も

みんなが涙しました。

しかしターボ君はもういないのです。
悲しく、寂しい雰囲気が町に流れていました。
誰もがどんよりとした空気を感じていましたがどうすることもできず
その空気の重さにまた涙をながすのでした。

町に以前のような活気はなくなっていました。。。


しかし

泣いている人々の中から
あの女の子が行動にでたのです。

小さな心でいろんなことを感じとったのでしょう。

女の子は花を植え始めました。
その小さな手で花を植え始めたのです。


ターボ君を忘れないために
ターボ君の優しさを残すために
新しい空気を流すために


それを見た周りの人々も一緒になって花を植えました。
きっと今のままではダメなんだ。
何か行動しなくちゃいけないんだ。
今ターボ君のためにできることをしたい。
そんな気持ちからでした。

町の人々はたくさんの花を植えました。
町中に。
ターボ君のことを思いながら。

時が悲しみを弱めることもなく
みんなは一生懸命花を植え、見つめました。


その花はやがて大きくなり、たくさんの花を咲かせました。
ターボ君の好きだったその花は
町中に綺麗に咲きました。

とても綺麗に。


。。。すると


その花たちの一つ一つから小さな・・・本当に小さな光の球が
姿を見せました。
一つの花から一つの光。

そして一箇所に集まりだしたのです。

その一箇所に集まった何億もの光の球は
とてもまぶしく
大きくて
優しくて
暖かく。。。

その光が集まった場所
それは動かなくなったターボ君の元でした。

そして

ターボ君はその暖かい光に包まれました。
急にその光が一瞬強い光を発すると
不思議なことが起きたのです。


そこにはターボ君が立っていました。


人々の優しさが、深い思いが、奇跡を起こしたのです。
ついでに
神様はちょっとしたいたづらをしました。


新しい命をもらったターボ君は変な感覚におそわれました。
体が熱いのです。
それだけではありません。

光はまぶしく
胸には鼓動を感じ
手には青々とした血管がみえるのです。

町のみんなが笑顔にかわりました。
とりあえずターボ君は
恥ずかしそうに頬を赤らめて
その笑顔に満面の笑顔をかえしました。

そう

ターボ君は人間になりました。

それはチューリップが満開の季節のことでした。


それから毎年春になると、その町にはたくさんのチューリップが咲くようになりました。



今年もまた、あの不思議なチューリップの季節がやってきます。

おしまい。