ある男がいました。
その男は大切な人を失ってしまいました。
涙が止まらない。
そんな日を過ごさなくてはいけませんでした。
彼は思いました。
きっと人にとって一番不幸なことは大切な人をなくすことなんだ。
こんな思いをしている僕は世界で一番不幸なんだ。
もうこんな思いはしたくない。
もうこんな思いはしたくない。
その日から
彼は友達をつくるのをやめました。
彼は思いました。
きっと一番不幸なことがなくなった僕は世界で一番幸せなんだ。
僕は幸せ者なんだ。
彼は何日も一人で過ごしました。
そしたら急に涙が出てきたのです。
とめどなく。
さみしい。
彼は思いました。
きっとこんな思いをしている僕は世界で一番不幸なんだ。
きっと大切な人ができない僕は不幸なんだ。
もうこんな思いはしたくない。
どうすればいいんだろう?
どうすればいいんだろう?
それから彼は幸せになりました。
なぜなら彼は
別れの数が出会いの数よりけして多くはならないことを知ったからです。